政府が価格高騰に歯止めをかけるためとして備蓄米を放出してからすでに1か月半。農水省によると備蓄米がスーパーなどの小売に渡ったのは全体の約1.4％にとどまっている。備蓄米を政府から落札したJA全農が備蓄米の流通が少ない要因としてあげたのは配送トラックの手配がスムーズにできていないこと。JA全農は貨物列車・全農号を活用し増便しているがトラックでの輸送は深刻な人手不足により調整に手間取っている。ほかにも遅れの要因としてあげたのは卸業者の精米に時間がかかっていること。卸業者の食協はJAから40トンの備蓄米を入荷したがブレンドに時間がかかったという。備蓄米40トンのうちすでに9割は出荷済みだが追加で備蓄米を買うことは考えていないという。備蓄米が放出された分、後で同じ量の新米を買い戻す決まりがあり、JAなどから備蓄米を買った卸業者は翌年以降に買った分だけ新米の入荷枠を減らされる可能性がある。卸業者に備蓄米を買い控えする傾向が高まり流通を妨げている原因になっている。専門家はこの制度が今後価格高騰を引き起こすのではと指摘する。農水省は受給が落ち着いたところで返してもらえればよいとしている。