ワリエワはクラブが生み出した最高傑作と言われてきた。去年10月の取材時点では国内大会に出場する資格があり毎日10時間ほど厳しいレッスンを受けていた。ワリエワがスケートを始めたのは3歳の時。エテリコーチの門を叩いたのは12歳のころで、これが彼女のスケート人生を大きく変えた。15歳でシニアデビューを果たしたワリエワは4回転ジャンプを成功させ、世界歴代最高得点を記録した。他を寄せ付けない強さから“絶望”という異名で呼ばれるようになった。しかしこの2年間でワリエワは4回転ジャンプを跳べなくなっていた。エテリコーチは「少し体を絞らなければならない」と明かした。後輩たちに先を越されるワリエワ。世界の表舞台に立てないまま本来のピークが過ぎ去っていく。ワリエワにとってその時間の代償はあまりにも大きいものだった。