東京・北区のボクシングジムで働いているシニア女性・高築正子(76歳)。午後4時半ごろ出勤すると洗面台の掃除を始める。掃除を終えると、身長170cmほどある女性選手のミット打ちの相手を始めた。高築さんの仕事はボクシングのトレーナー。女性だけでなく、高い技術と熱血指導でプロボクサーの男性も指導する。高築さんは1976年にデビューした日本人女性初のプロボクサー。28歳で米国に渡り、通算成績は15戦12勝2敗1分。35歳で現役を引退し、その後、トレーナーに転身し、女子の日本チャンピオンを一人育てた。ジムの川島勝会長は「すごく厳しい。その半面、コロッと変わって優しさもあって、人間の気持ちをよく見ている」と話す。しかし、ボクシングのトレーナーは、76歳の今ではかなりハードな仕事。そのため日々欠かさないのが、体力を維持するための筋トレ。現役を引退してもなお筋トレを行う理由について「やらないと気が済まない。ボクシングを愛しているから」「(ボクシングのトレーナーを)長くできたらうれしい。いつまでもやりたい、ボクシングは」と話す。