40年以上前の日曜日の朝、西谷旬子さんは母親とおめかしし、札幌のデパートへ向かうのにJR千歳線を利用した。普段、母親は弟の世話に忙しく、旬子さんは買い物に行く日曜日だけは母親を独り占めできた。ただ、留守番している父、弟のことを忘れず、お土産は欠かさなかった。帰りの列車では楽しい時間も終わりが近づいていると寂しさも覚えたが、自宅で待つ父、弟のために早く帰らねばと思っていた。お土産を喜んでくれると、旬子さんと母親は安堵し、食卓を囲みながらその日の出来事を話した。40年が経過した今も、西谷さんは弟と暇を見つけては両親のもとを訪れ、思い出話に花を咲かせる。