中国・江蘇省の省都・南京市。2011年に完成した駅。利用者数が見込めず、開業すると赤字になるおそれがあるため一度も使われないまま鉄道会社が運用を断念。建物の中にはトレーニングマシンやビリヤード台、ニワトリも飼われている。駅の警備員によると信号の操作などのため職員が駐在していて維持費なども発生。鉄道会社によると開業の見通しは立っていない。中国全土に張り巡らされた高速鉄道。去年だけでも日本の新幹線の総延長に匹敵する2776キロが延伸された。駅を誘致すれば周辺の開発が進むとの期待から地方政府が採算を度外視して開発を進め、完成した駅が短期間で閉鎖されたり使われずに放置されるケースが続出。「幽霊駅」とも呼ばれ、中国メディアによると26か所に上る。中国・広西チワン族自治区で8年前に着工したモノレール。地元政府の資金繰りが悪化し、工事が途中で放置されている。経済が低迷する中、過大なインフラは地方の財政を圧迫。自治体の債務残高は2兆円近くに上っている(柳州市)。この街で公務員として働く男性は取材に対し「手当の支払いが滞っている」と窮状を訴えた。中国政府はことし9月、地方政府のやみくもなインフラ建設を規制。収益を生まないインフラのために債務を増やすことを禁じた。大規模なインフラの建設が経済発展を担う時代を終えた中国。人口が減少に転じる中、地方は厳しい財政状況に直面している。