EVシフトの鈍化は中国だけでなくヨーロッパ、そして米国でも指摘されている。これまでEVの販売が少なかった日本メーカーはそれでも中長期的にはシフトが進むと見て、事業の強化を打ち出している。ホンダの三部敏宏社長は先月、カナダの工場でトルドー首相と共に記者会見した。会社にとって北米は世界販売の4割近くを占める重要市場でカナダに新工場を建設し、EVと電池の生産体制を強化する戦略である。パートナー企業を含めた総投資額はおよそ1兆7000億円に上る。日産自動車は地域によってばらつきがあるEVシフトに柔軟に臨む戦略である。3月、新たな経営計画を発表した。2026年度までに世界で投入する新型車のうち16車種はEVなどの電動車だが、14車種はエンジン車である。日本メーカーの今後の戦略について自動車産業に詳しい伊藤忠総研の深尾三四郎上席主任研究員は「日本メーカーは低価格戦略を取るのではなく付加価値戦略で対抗するべきだ」としている。例えばEVでも電池の性能を伸ばし、中古車市場でも価値を維持できることや整備などのアフターサービスでもさらに強化することなどで差別化を図るべきだと指摘している。