人手不足が深刻化する中、国はきょう従事を認める外国人材の対象を拡大する方針を決めた。名古屋市内の訪問介護の現場で働くフィリピン人のヴィクトリアさん(36)は9年前に来日し「介護福祉士」を取得した。しかしヴィクトリアさんのように訪問介護が出来る外国人は限定的であるのが現状である。厚生労働省の審議会は訪問介護のヘルパーへの外国人材の活用をめぐり検討を進めてきた。国内で介護サービスに従事できる外国人の在留資格は主に4種類。人数が多い順に特定技能・技能実習・在留資格「介護」・EPA(経済連携協定)の枠組みで入国した「特定活動」となっている。しかし、訪問介護への従事は介護福祉士の資格を持つ一部の外国人材に限られていた。先ほどのヴィクトリアさんは「特定活動」に含まれている。食事の介助や、利用者とのコミュニケーションなどを1対1で行わなければならないことが多い訪問介護。きょう審議会では介護福祉士の資格を持たない技能実習や特定技能などの外国人材にも、条件を満たせば従事を認める方針が了承された。その条件として、従事する外国人材が介護技術を学ぶ介護職員初任者研修を修了していることとしている。そのうえで介護事業所には日本の生活様式やコミュニケーション方法を学んでもらう研修の実施や一定期間、職員が同行して必要なトレーニングを行うことなども求める。厚生労働省は今後、国民から広く意見を募るパブリックコメントを行う予定で、早ければ来年度にもサービスが始まる見通しである。ただ、現場では外国人材の受け入れに課題も感じている。