フリーランス法 何が変わるのかについて解説。フリーランス・事業者間取引適正化等法は今年の11月11日に施行される。フリーランスは1人の個人として業務委託を受けるのに対して発注事業者の多くは従業員を雇って組織として運営している。そのために利用者の間には交渉力や情報収集力の格差が生じやすくフリーランスは、発注事業者に対し取引上弱い立場に陥りやすいという特性がある。事業者間取引の間で弱い立場にたたされやすいフリーランスについて取引上のトラブルを未然に防ぐために取引の適正化と、ハラスメント防止の体制整備など就業環境整備の目的でフリーランス法が制定された。法は発注事業者から業務委託を受けて従業員を使用しない個人、または法人のひとり社長を特定受託事業者と定義してフリーランスを保護の対象にしている。一方でフリーランスの相手となる業務を委託する事業者に対しては従業員を使用して企業組織として事業を運営する発注事業者を特定業務委託事業者と定義しこれに法的義務を課している。取引の適正化についてはこれまで取引条件が不明確なためにトラブルが発生していた。そのために発注事業者は業務委託の時に委託する業務の内容を報酬額、支払い期日などの取引条件を書面やメールで明示するよう義務付けられた。口頭だけで業務委託することはできなくなったがこの明示義務だけは企業組織をもたないフリーランスが発注事業者となった場合も課せられる。次に報酬支払に関するトラブルも多くなっていて規定が儲けられた。発注事業者は、報酬の支払日を仕事が済んだ日から60日以内のできるだけ早い時期に決定しその日までに支払う必要がある。さらに1ヶ月上の業務委託を行う場合にはこの法律は発注事業者が不当な取引行為をすることを禁止している。禁止される行為は受領拒否、報酬減額な度7つの禁止行為がある。次にフリーランスからは募集時の取引条件と実際のそれとは異なっているという苦情が寄せられている。フリーランス法は発注事業者がフリーランスを募集する際には募集情報の内容が虚偽の表示や誤解を招くものではなく、募集情報が最新かつ正確なものであるよう的確に表示するよう義務付けている。フリーランスにとってワークライフバランスの確保は重要。6ヶ月以上の業務委託をする場合には発注事業者は妊娠、出産育児、介護の状態にあるフリーランスから申し出があった場合には内容を把握し取りうる選択肢を検討し配慮をする必要がある。配慮措置には子どもの休業で一時期作業時間がとれ無い時に納期を遅らせるなどの対応が考えられる。
フリーランス法は発注事業者に対しハラスメントを防止するために必要な体制整備を行うよう義務付けている。これにより労働者と同様にフリーランスに対してもセクシャルハラスメントやパワーハラスメントなどに対する相談体制の整備や事後対応が求められることになった。契約が突然解約されると新たな委託先がすぐに見つかるとは限らず、6ヶ月以上の業務委託を行う場合に発注事業者は、原則として契約を解約する30日前に申告しなければいけない。事前予告や育児介護等の配慮は契約を更新して6ヶ月以上業務委託する場合も対象で、解除または更新しない理由を開示する必要がある。フリーランス法の執行は取引の適正化については公正取引委員会、中小企業庁が就業環境整備や厚生労働省がそれぞれ担当する。留意すべき点についてはフリーランスの取引関係では発注事業者とフリーランスという当事者だけでなく、その間にプラットフォームなど複数の事業者が介在する事が少なくない。通信販売を例にとるとインターネットショッピングサイトから複数の運送事業者を得て末端のフリーランスのドライバーへと業務が委託される場合がある。このように複数の事業者が取引に関与する場合は契約の形式だけでなく誰が自主的に発注事業者なのか判断する必要がある。次に偽造フリーランスの問題がある。フリーランスは、業務を受託する事業者なので契約形式的には労働者ではない。しかし実態として発注事業者から指揮監督を受けて業務をしている場合には、労働者に該当する可能性がある。この場合、フリーランス法ではなく労働基準法になるなどの労働関係法令が適用される。フリーランスが労働者か判断が迷うことも少なくはない。労働基準監督署は労働者であるかどうかを業務委託の契約の形式ではなく客観的、実態的にみて業務遂行上の指揮監督、時間的、場所的拘束性などから判断する。