去年6月に公開された映画「国宝」。歌舞伎に人生を捧げた主人公の半生を描いた物語。実写の日本映画としては歴代1位の興行収入となった。去年12月、岐阜・高山で「国宝」の特別上映会が開かれた。舞台挨拶に登場したのは映画で振り付けと舞踊指導を担当した高山市出身の谷口裕和さん。谷口さんは毎年、国立劇場などで自らの公演を開催しているほか、市川團十郎さんの公演の振り付けなどにも携わっている。上映会は映画館がない地元・高山の人にも作品を観てほしいと谷口さんの呼びかけで実現した。舞台挨拶には映画で重要な役どころを演じた田中泯さんも登場した。田中さんも谷口さんから指導を受けた。映画の撮影に入る前、高山市にある谷口さんの稽古場で主演の吉沢亮さんと横浜流星さんが所作や舞を学んだ。谷口さんは中学まで高山で過ごした。実家は200年以上の歴史がある料亭。上京するまでの間、芸妓の文化に触れて育った。一方で、踊りの家元ではない環境から身を立てた。自身の生い立ちは映画の主人公・喜久雄に通じるものがあったという。谷口さんが映画に携わるのは初めてで、俳優を生まれながらの歌舞伎役者に見せることを求められた。映画で中心となる2人が演じるのは歌舞伎の女形。見せかけではない基礎からの徹底した稽古にこだわった。谷口さんはふるさと高山でも活動を続けていきたいと話す。
