山口市は市内にある貨幣鋳造所の跡地「周防の鋳銭司跡」で、平安時代の貨幣「貞観永宝」の鋳造の過程で失敗した鋳損じ銭が、日本で初めて見つかったと発表した。周防の鋳銭司跡では平安時代にかけて国が発行した皇朝十二銭のうち、8種類の貨幣を造っていたとされ、これまでの調査で「貞観永宝」が発行される前の時代の4種類の貨幣が見つかっていた。平成30年度の調査で見つかった金属片が、さびなどで文字が判別できなかったため、X線CT画像で詳しく調べたところ、「貞観永宝」の文字が確認された。また、一部の金属片にはふちに余分な出っ張りがあり磨かれていないことから、鋳損じ銭だとわかった。合わせて、鋳損じ銭が一般に流通することはないため、貨幣がこの場所で造られていたことが裏付けられたとしている。山口市文化財保護課は「これまでの発見とあわせて史跡に指定された場所のほぼ同一地点で、890年までの最長65年間にわたって銭貨生産が行われてきたことが明らかになった」と話している。
住所: 山口県山口市鋳銭司5015