文明堂創業家の婿養子になることを一度は決意した宮崎さんに対し、両親は頑なに反対。転機が訪れたのは2020年、会長の宮崎正宣さんにがんが見つかり、医者からは余命半年の宣告がくだされた。宮崎さんは「会長が旅立つ前に何としても報告したい」と両親のもとに駆け込んだ。すると覚悟が伝わったのか「わかった」「頑張れよ」と認めてくれたそうで、宮崎さんは愛知県にある大野家の墓に出向き、宮崎家に入ることを先祖に報告。その後、妻・子どもたちの理解を得て養子縁組届を提出した。「宮崎進司」として会長の病室を訪れると、静かに喜んでくれたという。いま宮崎さんは文明堂の社長としてだけではなく、街全体の活性化にも力を入れている。その鍵となるのがサッカー。日本フットボールリーグで戦う「クリアソン新宿」の活動を宮崎さんがサポートしている。人脈を活かし、新宿の店や企業を巻き込む宮崎さんは、いまやすっかり地域の世話役に。思いもよらぬ婿経営者となり、試練を乗り越えた宮崎さん自身の跡継ぎはどう考えているのか聞くと「(子どもは)20歳の女の子と17歳の女の子です。本人たちが決めることだと話していて、僕は特に”お婿さん経営者”なので『自分の会社』という認識より、『預かったもの』と思っている。その会社にいるみんなはこれからも幸せにならないといけないと思うけど、幸せになれる・させられる人が誰なのか?ということなので、それが子どもたちなら最高だし、違う人でも受け入れるべきだと思う」と話した。
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