台湾・嘉義にある「台湾タイル博物館」には、1915年から1935年の約20年間に日本で生産され、台湾で広まったタイルが展示されている。1度に40人しか入場できない小さな博物館だが、若者や海外からの観光客で賑わう。当時、高級品だったタイルは建物の装飾に用いられ、りんごが「平安」、桃が「長寿」、ざくろ・ぶどうが「子孫繁栄」などと台湾の人々の特別な願いが込められているという。館長である徐さんは半導体のエンジニアをしていたが、大学時代に魅了されたタイルの美しさや歴史的な価値を守るために退職し、タイルの保存・再生に打ち込んできた。博物館では、徐さんが20年以上かけて収集した約1万枚のうち、1,000枚余を紹介。タイルは戦争激化などの影響で生産が途絶え、時代の移り変わりとともになくなっていく現状に危機感を抱いていた。徐さんは修復作業に取り組み、生産が途絶えた手作りタイルの技術を守るために復刻版の製作にも力を入れている。徐さんが蘇らせたタイルは、伝統的な建物の修復にも活かされていた。タイルには台湾がたどった歩みや人々の記憶が凝縮されていて、徐さんは台湾を代表する文化として後世に残していきたいと考えている。
