インド洋の島国・スリランカで大統領選挙が行われる。40人ほどが立候補している中有力なのが現職・ウィクラマシンハ大統領、野党候補・ディサナヤケ、野党候補・プレマダーサで先月の世論調査ではディサナヤケ36%、プレマダーサ32%、ウィクラマシンハ大統領28%だったが最新の世論調査でがディサナヤケ48%、ウィクラマシンハ大統領が20%と差が開いた。現職・ウィクラマシンハ大統領は経済の安定を最優先で掲げている。スリランカは2022年、運フラ整備のための債務拡大やコロナ禍の観光客激減で深刻な外貨不足に陥りあらゆるものが不足する事態となった。各地でデモが行われ当時の大統領は国外に逃亡しその後を継いだのがウィクラマシンハ大統領だった。ウィクラマシンハ大統領はIMF・国際通貨基金から4年間で約30億ドルの金融支援を取り付け、選挙戦ではスリランカの経済を立て直した実績を掲げている。しかしIMFから支援を受ける条件としてすすめてきた増税・電気代の引き揚げなどによる緊縮政策によって生活が苦しくなった国民が増えている。今年1月、最大都市コロンボで現政権を批判する大規模なデモが行われた。参加者は増税に加え食料品などの物価が高止まりする状況を改善すべきだと訴えた。こうした中急速に支持を伸ばしているのが長年左派政党の議員を務めて来たディサナヤケだ。現政権の緊縮政策を厳しく批判し、コロンボで行われた集会は政権交代を求める支持者で埋め尽くられた。増税などを前提とするIMFとの合意を見直すと公約にかかげるディサナヤケに期待が高まっている。コロンボ近郊のシャミライクバルは夫が日雇いの仕事で稼ぐ月約3万5000スリランカルピー(日本円で約1万6000円)で暮している。電気はなるべく使わず食事の量も減らしているが借金はこの2年で35万スリランカルピーに膨れ上がった。シャミライクバルは「私たちは経済的にどん底に落ちた。政府は必要な措置をとるというが物価がただ高くなるだけだった」と話した。ディサナヤケ陣営の幹部・ハリヤアマラスリャは「国民生活に深刻な影響が出ている。IMFが出した条件はとても画一的でスリランカの状況に合わせて作られていない。われわれは既にIMFと協議している」と話した。