衆院選で敗北し、少数与党として初めて本格論戦に臨む石破総理。自らの政治姿勢や重要課題を示す所信表明演説は、その苦しい状況を反映した内容で始まった。国会で法案を成立させるためには、野党の協力が不可欠、配慮をにじませた。協力を求めるため焦点の1つとなっているのが。国民民主党と継続的に協議している「年収103万円の壁」の見直し。演説では「『103万円の壁』については、令和7年度税制改正の中で議論し、引き上げる」と引き上げる方針を明言したほか、同じく国民民主党が求めるガソリン減税についても「見直しに向けて検討し結論を得る」と意欲を示した。政権幹部は「少数与党なので数では押しきれない。多くの党の理解を得ないといけない」と話す。ただ自身のカラーをにじませた部分も。それは演説の冒頭と結びでのこと。引用したのは、石破総理が生まれた年に総理を務めていた石橋湛山の演説。多様な意見を尊重することや、平和共存を訴えた人物。なぜ今回、取り上げることにしたのか。政府関係者は「今の少数与党の状況にも、今の外交にも共通している。勝ち負けやどちらが利益をあげるかではなく、ウィンウィンの関係を目指すという思いの表れだ」と話す。石破総理は日米地位協定の見直しにも意欲をにじませた。長く続いた官邸主導の政治から、与野党の話し合いを尊重した政治への転換を迫られている石破総理。野党は演説をどう受け止めたのか。立憲民主党・野田佳彦代表は、政治改革を推進しようとする意欲・覚悟を感じることが出来なかったと話した。また国民民主党・玉木雄一郎代表は、足りないところを国民民主党が政策の提案・低減を通じて埋めていくと話した。来週から本格的な与野党の論戦が始まる。