国友一貫斎が作った反射望遠鏡は長浜市指定文化財となっている。当時一貫斎は、大名屋敷でオランダ製の望遠鏡を目にした。一貫斎がみたのは反射望遠鏡で、入ってきた光を集め、中の鏡に反射させることで対象物の輪郭をハッキリみることができる。そのために最も大事なのは光を反射する主鏡。平らな円盤にみえるが断面をみるとわずかに放物線に。光を確実に主鏡に反射させるためにきれいな放物線でなくてはいけない。少しのくもりやゆがみでも正確に機能しないために相当な技術が必要になってくるが、それを上回るものを作り上げた。天文学者の冨田良雄さんもその出来の良さに驚愕した。主鏡を分析すると、銅と錫が使われていた。冨田先生たちはその銅と錫の割合を少しずつ変えた金属を作りどのように変化するのか10年間かけて観察した。変化や劣化が少なかったのは一貫斎が配合した銅67%鈴33%だった。さらに2019年には国立天文台は主鏡の面精度を調査した結果、現在の市販品2つの数値の間にあり、現在でも合格ラインをクリアする歪みの少なさだった。そのピカピカな表面は日本刀の研磨に使う砥石を使っていた。そこで一貫斎の手法で研磨に挑戦した。表面がざらざらの金属を研磨初体験のスタッフが磨く。荒砥、中砥、仕上げ砥で磨いてくが一貫斎はこの時に油と砥の粉を混ぜていた。粘土のある油で砥の粉を動かせばしっかり研磨できる。しかしまだピカピカとは言えない。一貫斎はその工程の最後に編み出したツヤ出し法は仕上げ砥の油を全て拭き取り、水も使用せず研ぐ空研ぎを行っていた。削られた金属の粒子が再び金属に付着し、金属の凸凹に埋めてより滑らかになる。こうして鏡のようなピカピカ具合に。