デジタルツインと呼ばれる最新の医療技術について。人間の心臓をデジタル空間にそっくり再現する最先端のシミュレーター。形や動きだけではなく、内部の血流なども再現されている。去年、臨床試験が終わり、実用化を目指して開発が進められている。このシミュレーターは目的は生まれつき心臓の構造に異常がある先天性心疾患の治療。新生児のおよそ100人に1人に見つかるといわれていて、どんな異常があるか、個人差が大きく、手術方法を選ぶのが非常に難しい病気。この心臓シミュレーターの活用が進む最前線の現場を取材した。シミュレーターの開発チームの代表、国立循環器病研究センター・白石公医師。40年以上、子どもの心臓病の診療と研究を続けている。開発が始まった背景には先天性心疾患の治療におけるある課題があった。それは心臓にどんな異常があるか、患者によって大きく違うことだ。心臓は本来4つの部屋に分かれているが、先天性心疾患では部屋が分かれていなかったり、部屋を隔てる壁に穴が開いていたりする。こうした疾患の種類は主なものだけで40以上あり、同時に複数の疾患が見られることも多いため、適切な手術方法を見極めるのが難しいとされている。例えば、人工血管を心臓に縫い付ける手術。太さの僅かな差で心臓にかかる負担が大きく変わるため、一人一人に合ったものを選ぶ必要があるが、その判断は常にリスクと隣り合わせだ。
そこで白石医師が東京大学などと開発を進めているのが患者の心臓をデジタル空間上に再現し、手術後を予測するシミュレーター。どのように再現と予測が行われるのか。データの解析などを担っている医療機器メーカー。まず、心臓の断面を捉えたCT画像から立体画像を作成し、40万個以上の小さなブロックに分割する。ブロック一つ一つを独自のプログラムで動かし、別の検査のデータも入力していくことで血流や血圧、酸素の量まで再現している。精密な再現で可能になるのが仮想の手術。プログラムで人工血管などの形状を細かく調整し、いろいろな手術を試すことができる。仮想の手術を受けて血流や血圧などがどのように変化するか、コンピューターで解析。結果を比べれば、どの方法がより心臓への負担が少ないと考えられるか予測できる。医療機器メーカー・千葉修一社長のコメント。
シミュレーターはすでに現場で効果を発揮し始めている。重度の先天性心疾患と診断された福永雅采さん。おととし手術を受けたとき、臨床試験としてシミュレーターが活用された。手術を担当した外科医はシミュレーションが手術方法を決める重要な判断材料になった。福永さんの手術は心臓の内部に血液の通り道を人工的に作るもの。通り道を理想的な形にするためには筋肉の一部を切除する必要があったがそれによって心臓の動きに影響が出るリスクもあった。シミュレーションでは切除する場合としない場合を比較。切除しても心臓の動きへの影響は少なくメリットが上回ると判断できた。手術から2年。福永さんは服用する薬の量が減り、血液中の酸素の量も改善した。小学1年生の現在、運動の制限もない。シミュレーターの課題は心臓の状態によっては再現が難しい場合があることや解析に時間がかかるため緊急の手術には対応できないことなど。開発チームは実用化を目指して改良を重ねていく予定。このシミュレーターだが、去年まで行われていた臨床試験では12例で活用されており、およそ3年以内に医療機器としての承認を得ることを目指している。
そこで白石医師が東京大学などと開発を進めているのが患者の心臓をデジタル空間上に再現し、手術後を予測するシミュレーター。どのように再現と予測が行われるのか。データの解析などを担っている医療機器メーカー。まず、心臓の断面を捉えたCT画像から立体画像を作成し、40万個以上の小さなブロックに分割する。ブロック一つ一つを独自のプログラムで動かし、別の検査のデータも入力していくことで血流や血圧、酸素の量まで再現している。精密な再現で可能になるのが仮想の手術。プログラムで人工血管などの形状を細かく調整し、いろいろな手術を試すことができる。仮想の手術を受けて血流や血圧などがどのように変化するか、コンピューターで解析。結果を比べれば、どの方法がより心臓への負担が少ないと考えられるか予測できる。医療機器メーカー・千葉修一社長のコメント。
シミュレーターはすでに現場で効果を発揮し始めている。重度の先天性心疾患と診断された福永雅采さん。おととし手術を受けたとき、臨床試験としてシミュレーターが活用された。手術を担当した外科医はシミュレーションが手術方法を決める重要な判断材料になった。福永さんの手術は心臓の内部に血液の通り道を人工的に作るもの。通り道を理想的な形にするためには筋肉の一部を切除する必要があったがそれによって心臓の動きに影響が出るリスクもあった。シミュレーションでは切除する場合としない場合を比較。切除しても心臓の動きへの影響は少なくメリットが上回ると判断できた。手術から2年。福永さんは服用する薬の量が減り、血液中の酸素の量も改善した。小学1年生の現在、運動の制限もない。シミュレーターの課題は心臓の状態によっては再現が難しい場合があることや解析に時間がかかるため緊急の手術には対応できないことなど。開発チームは実用化を目指して改良を重ねていく予定。このシミュレーターだが、去年まで行われていた臨床試験では12例で活用されており、およそ3年以内に医療機器としての承認を得ることを目指している。
住所: 大阪府吹田市岸部新町6-1
URL: http://www.ncvc.go.jp/
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