アフガニスタンの首都・カブールでは先月15日、タリバンの復権から5年に合わせて軍事パレードが開かれた。タリバンによる統治で国が力強く前進していると国内外にアピールした。記念式典で演説したタリバン暫定政権の幹部たちも統治の正当性と成果を強調した。しかし国内の経済状況は依然厳しく、今も多くの人々が困窮した生活を余儀なくされている。東部・ナンガルハール州に住むバシール・フムザイさんは隣国・パキスタンに逃れていたが2か月前に帰国。1部屋しかない家を親族と共有している。パキスタンでは建設作業員として働きながら収入を得てきた。しかしパキスタン政府はテロ対策などを理由に3年前から不法滞在者などの大規模な強制送還を実施。フムザイさんも当局からの命令を受けやむを得ず帰国したという。国連は去年1年間にパキスタンから帰国した人は100万人を超えるとしている。フムザイさんは安定した仕事に就くことができず、運搬業の日雇いで稼げるのは1日300円ほど。1番の悩みは家族6人の食べ物。毎日限られたナンを家族で分け合って食べている。こうした状況に最も影響を受けているのが子どもたち。1歳半になる末娘のナディアちゃんは栄養失調に陥り、これまで国連機関から配給された栄養補助食品を食べていた。今はそれもなくなり、自費で買ったビスケットを食べさせているが、体調が優れず発熱やお腹の不調が続いている。先行きが見えない状況にフムザイさんは大きな不安を抱いている。周辺国から大量のアフガニスタン人が帰国したことで子どもたちを取り巻く状況は日々深刻になっている。州の地域医療を支える公立病院の小児病棟では栄養失調の子どものために今年に入り病床を10から18に増やした。それでも現在、約30人が入院し、1つのベッドに複数の子どもを寝かすなど対応に追われている。中には重症化している子どものために借金をして治療費を捻出する母親たちも少なくないという。国連は「アフガニスタンで約370万人の子どもが栄養失調に陥るリスクがある」と警鐘を鳴らしている。厳しさを増すアフガニスタンの人たちの現状を悪化させている理由の1つが国際社会からの援助の縮小だ。現地で人道支援を行うWFPは今、資金不足に直面している。アメリカのトランプ政権による対外援助のカットなど各国が援助を減らし、ことしの資金は2024年に比べ3分の1に減少したという。それらの影響から健康状況を検査し、栄養補助食品の配給などをしていた施設の142か所が去年閉鎖。施設を訪れる7人のうち1人しか必要な支援が受けられなくなったとしている。WFPの現地代表は救えるはずの命が失われていると強い危機感を示している。
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