オウム真理教が引き起こした日本史上最悪のテロ事件。地下鉄サリン事件からまもなく30年。30年前の2月28日、東京・目黒公証役場の事務長・仮谷清志さん(当時68)がオウム真理教により拉致されその後、亡くなる事件があった。元捜査員たちは口をそろえて「この事件の捜査がオウム解体のきっかけになった」と話す。1995年3月20日、地下鉄サリン事件。この時、オウムは追い詰められつつあった。当時、最前線で指揮を執ったのは警視庁・佐久間正法さん。当時、大崎署で操作を担う刑事課長だった。仮谷さんは仕事を終えて公証役場から出た直後に拉致。仮谷さんは自身の妹を探していたオウム信者に連れ去られたとみられていた。事件が大きく動いたのは指紋操作がきっかけ。当時の捜査資料によると、容疑者が拉致に使ったレンタカーを借りた際の書類からわずかな指紋が採取されたという。この指紋がオウムの信者のものと一致。そして警視庁は教団関連施設への強制捜査の日付を3月22日に決定。しかし、強制捜査の日付がオウム側に漏れ、2日前に地下鉄サリン事件が起きた。3月22日予定どおり、教団関連施設への強制捜査が行われた。これがきっかけとなり、オウムの主要な幹部が次々と逮捕され、仮谷さん事件の捜査でオウムは解体に向かった。