6月から新体制での稽古が行われている伊勢ヶ濱部屋。力士たちは稽古の合間をぬって、精力的に筋力トレーニングを行っていた。体づくりこそ相撲の第一歩という伊勢ヶ濱親方が14年間の現役生活で大切にしてきたことを、弟子にも伝えている。モンゴルから海を渡り、大相撲の道に進んだ伊勢ヶ濱親方。恵まれた体格を活かし、初土俵から25場所で大関に昇進した。しかし、両膝のけがや糖尿病にも苦しみ番付は序二段にまで落ちた。もう一度強くなるにはどうすればいいか、より真摯に自分の体と向き合いトレーニングのやり方や稽古の量を自分自身で考えるようになっていた。土俵に戻った後、横綱の地位にまで上り詰めた親方。意識を持って相撲と向き合うことで逆境を乗り越えていた。稽古の中では弟子たちが課題を意識できるよう、できるだけ具体的にアドバイスをしている。親方の指導で自分の課題を強く意識するようになり、克服しようとしている力士がいた。前頭2枚目の伯桜鵬である。課題は相手と当たった後、前に出られず止まってしまうことだった。けがや病気を経験しながら横綱として3年以上土俵を守り続けた伊勢ヶ濱親方。弟子を育てることとなった今、相撲の伝統を受け継ぎ伝えられる力士を育てたいと考えている。