ジャーナリスト・増田ユリヤがEU・ジャンエリックパケ駐日大使に聞く。ウクライナ・ゼレンスキー大統領がロシアによる侵攻直後から求めていたEUへの加盟。大きく支援が前進したと指摘する加盟交渉を巡っては紆余曲折があった。ウクライナへの支援に消極的でロシア寄りの姿勢をとるハンガリー・オルバン首相はウクライナのEU加盟の採決で棄権。結果的には今年6月、ウクライナの加盟交渉が正式に始まったものの、オルバン首相はロシアを訪問しプーチン大統領と会談を行った。EU内部からの反発を受け議長国だったハンガリーは外相国防相会合を主催する権利を剥奪された。パケ駐日大使は「異なる文化や歴史を持つ国同士でも平和に向けて話し合うことがEUにとって大切だ」と指摘する。1952年、第2次世界大戦で打撃を受けたヨーロッパ経済を立て直すことを目的にEUの前身組織ECSC(ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体)が設立された。EUがウクライナ支援を続ける背景には人類愛と平和の理想がある。EUは日本との関わりも深い。駐日EU代表部の前身駐日EC代表部が1974年に東京に開設されてから今年で50年となる。先月1日には岩屋外務大臣がEUの外相と戦略対話を行い安全保障に関する合意文書を締結したと公表。新たな合意文書となる日EU安全保障防衛パートナーシップには自衛隊とEU海軍部隊との共同訓練を通じた協力の強化が盛り込まれた。パケ駐日大使は日本とEUの更なる関係強化が重要だと話す。一方でフランスやドイツなどではEU離脱を提唱する極右政党が台頭しているという。