「羊の皮を被った狼」と呼ばれた車は再び眠りにつく。日本が誇るスーパーカー日産「GT-R」。最後の1台の生産が26日終了した。最後の1台は日本のユーザーのもとに届けられるという。GT-Rの原点は1969年に登場した「スカイラインGT-R」（通称「ハコスカ」）。本格的なレーシングエンジンを市販車に搭載する日本初の試みで、日本のモータースポーツ市場に金字塔を打ち立てた。1972年のモデルチェンジでは「ケンメリ」の愛称で親しまれた。しかし、世の中の環境問題が意識され始める中、排気ガス規制の壁に阻まれ、生産されたのは197台。「悲運のGT-R」と呼ばれた。しかし、バブル期に復活も経営危機で生産終了。そして、2007年に復活したのが今回のモデル。大坂なおみ選手もお気に入りだった。速さと伝説で世界的にも人気が高かったGT-R。最後は大勢の関係者に見送られた。車に求めるものが「速さ」や「かっこよさ」から「乗りやすさ」や「燃費」に変わり、スポーツカー市場は時代とともに縮小。GT-R元開発担当者は「開発費や工数が膨大なものになりすぎてしまい、お客様に提供できる価格ではなくなることが一番の問題」と話した。社長はビデオメッセージで「これはGT-Rとの永遠の別れではありません。GT-Rは進化を遂げ再び登場するでしょう。皆様には辛抱強くお待ち頂くことをお願いしたい」と伝えた。