秋田県大潟村は日本最大の干拓地で、あきたこまちなどを生産する農家が集まっている。大潟村あきたこまち生産者協会・涌井徹会長は、自ら米農家を営みながら、他の農家から買い付けた米の出荷や加工食品の製造も手掛けている。年間5万トンほどの米を収穫する大潟村でも急増する米の需要に対して生産が追いつかない不安があるという。今から60年前、戦後の食糧不足を背景に大規模な稲作を実践するモデル農村として誕生した大潟村。涌井さんは家族とともに大潟村に移住し米農家として日本の食を支えようと意気込んでいた。しかし、移住した直後に始まったのが国の減反政策。涌井さんは減反政策には従わず自分たちで大潟村あきたこまち生産者協会を作り“闇米”などと揶揄されながらも独自の販路を開拓してきた。大潟村は半世紀ほど続いた減反政策は2018年に終了。ただ、長年続いた減反は多くの農家にある影響を及ぼしている。米の消費量の減少に伴い生産量だけではなく価格も下がり続けてきた。長引く米価格の低迷は米農家の収益を圧迫。減少の一途をたどるコメ農家は全体の7割が後継者がいないほか農家の約6割が70歳以上。コメの安定供給には若者の農業参入が不可欠だと考えている。経験のない若者が参入しやすいように新しい技術を使った農業を始めようとしている。