歌川広重は三保松原と富士山という情景を何度も描いている。駿河湾に突き出た三保松原はおよそ3万本の松が生い茂っている。松林は神聖な場所とされていた。三保松原は富士山から45キロも離れている。それでも世界遺産として登録されたのは地形に秘密がある。松林と海、霊峰富士の光景が芸術家の心を震わせた。大英博物館に所蔵されている広重の一枚の芸術性は海外でも高く評価されている。「富士飛鶴図」は1860年、日米修好通商条約を批准するために遣米使節がアメリカに持っていった。能の名作「羽衣」は三保松原で羽衣を見つけた漁師と天女の演目。三保松原は芸術の源泉として富士山との精神的な結びつきが評価され世界遺産の構成資産として登録された。
