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今回の世界遺産は富士山。自然遺産だと思われがちだが実は文化遺産。正式な登録名称は「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」。
富士山は日本のほぼ中央にそびえている。山脈や連峰に属さない独立峰であることから、遠くからも左右対称の美しい姿が望める。標高は日本一高い3776m。富士山では稀に目を奪うような自然現象が現れる。浮世絵の巨匠・歌川広重は様々な富士山を描いている。葛飾北斎が描いた冨嶽三十六景の中でも赤富士で知られる「凱風快晴」は代表作の一つと言われる。極めて稀だが、実際山肌が赤くなる。年にわずか数回の赤富士を撮影することができた。
富士山の麓にある白糸の滝は世界遺産の構成資産の一つ。富士山麓に降った雨や雪が幅150m、高さ20mの滝を作った。この壮観な景色は江戸時代後期の白糸瀑布真景図に描かれている。富士山の伏流水は富士五湖の湖底からも湧き出ている。葛飾北斎は逆さ富士を甲州三坂水面で描いている。山肌が見える夏の富士山が湖面では雪を纏った冬の富士に。富士山の西にある田貫湖では4月と8月、頂の真後ろから日が昇る。水面にも映るこの情景はダブルダイヤモンド富士と呼ばれている。
現存する日本最古の歌集「万葉集」には富士山にまつわる和歌がいくつもある。中でも海の向こうに見える富士山を詠んだ山部赤人の一首は名歌として知られている。
歌川広重は三保松原と富士山という情景を何度も描いている。駿河湾に突き出た三保松原はおよそ3万本の松が生い茂っている。松林は神聖な場所とされていた。三保松原は富士山から45キロも離れている。それでも世界遺産として登録されたのは地形に秘密がある。松林と海、霊峰富士の光景が芸術家の心を震わせた。大英博物館に所蔵されている広重の一枚の芸術性は海外でも高く評価されている。「富士飛鶴図」は1860年、日米修好通商条約を批准するために遣米使節がアメリカに持っていった。能の名作「羽衣」は三保松原で羽衣を見つけた漁師と天女の演目。三保松原は芸術の源泉として富士山との精神的な結びつきが評価され世界遺産の構成資産として登録された。
「世界遺産」の次回予告。
富士山を題材にした日本の芸術は西洋の芸術家を虜にした。19世紀後半、北斎の冨嶽三十六景など数多くの浮世絵が西洋に渡った。1867年のパリ万博をきっかけに「ジャポニスム」と言われたブームが起こった。フィンセント・ファン・ゴッホも浮世絵に心酔し研究し尽くしたという。フランスの画家アンリ・リヴィエールは「冨嶽三十六景」へのオマージュで「エッフェル塔三十六景」を描いた。雄大な美しさで芸術家にひらめきを与え名作を生み出してきたことで富士山は世界文化遺産に登録された。
「ベスコングルメ」の番組宣伝。
