ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから3年余り。この影響で、日本人と北方領土に暮らすロシア人の島民が相互に訪問し合うビザなし交流の中断が続いている。この事業で大きな役割を果たしてきたのが、日本人のロシア語通訳。日ロ関係が冷え込む中、通訳を取り巻く今を取材。ロシア語通訳の大島剛さん。札幌を拠点に長年、日本とロシアの交流の最前線で活躍してきた。高校生のころ、ロシア語の美しい音に魅了され独学で勉強した。東京の専門学校を経て20歳で通訳になった。およそ40年前に札幌で通訳会社を立ち上げ、ロシア語通訳の仕事を続けてきた。30代のころ1つの仕事が舞い込む。日本人と北方領土のロシア人が互いが主張する領土の主権問題を棚上げにした状態で相互を訪問する、ビザなし交流の通訳だった。およそ30年にわたり日本人とロシア人島民の橋渡し役を務めてきた。しかし、そこに暗雲が立ちこめた。新型コロナをきっかけに2020年に中断。さらに、ロシアのウクライナ侵攻で交流は完全に途絶えてしまった。大島さんの仕事はほとんどなくなり、おととし通訳会社を廃業。国際交流のもろさを目の当たりにした。大島さんはロシア語のスキルを磨き続けている。さらに、仲間たちとの連帯も欠かさない。大島さんは、北海道内に避難しているウクライナ人の支援にもあたっているという。