姫路王大手門をくぐると、天守を背後に平成中村座があらわれる。今回得に大規模に作られたのが江戸時代の雰囲気を今に伝える長屋。左右合わせて30店舗あり、和菓子の店までずらりと並んだ。ここはチケットがなくても誰でも買い物が楽しめるという。長い行列ができたのはきんつば店。中村座では客席でお弁当を食べるといういつもの光景が戻ってきた。その特等席ではひときわ豪華なランチが。お大尽席は3万6000円するが殿様気分が味わえるといつも完売する。姫路の老舗料亭が作った三段重は播州皿屋敷にちなんで9枚のお皿が使用されている。料理は瀬戸内海の旬の魚介類で脂ののった穴子。サワラなど時の食材を目にも鮮やかな懐石料理に。一方で七之助が挑む天守物語は、遂に本番を迎えた。46年ぶりに玉三郎から受け継いだ新しい富姫。幻想的な世界に観客が引き込まれていく。虎之介は玉三郎の教えを胸に真っ直ぐで清廉な若者を演じた。そして目の前に姿を表した姫路城に観客は大喝采。七之助と虎之介は見事に演じきった。すると玉三郎が舞台で役者陣に拍手。観客の前で平成中村座の舞台に上がったのはこれが初めてだという。勘九郎はこの出来事にいつか中村座に出てほしいと伝えていたが、今回それが叶ってよかったと感じていると答えた。