世界平和統一家庭連合、いわゆる統一教会に対する解散命令の審理が続いているが、韓国の教団本部の付近では、今、新しい動きがある。韓国・ソウルの駅で見つけたのは。旧統一教会のハンハクチャ総裁の自叙伝を宣伝するCMだった。教団の聖地と呼ばれている、およそ1年前に完成した天苑宮を訪れると「グランドオープン」の旗がなびいていた。先月、教団側が新たにオープンした花と鳥と触れ合える施設で、教団が配信した動画ではハンハクチャ総裁が施設を訪れ、動物や花を観察する様子などが伝えられていた。個性豊かな約40種類の鳥がいるバードゾーンでは、人と自然が調和するこの場所で、鳥と心を通わせる時間を持った。入場券は通常、大人1人3万ウォン、日本円でおよそ3400円。ほかにも教団側は、ことし1月に、動物園をオープン。先月には人気の観光地を訪れるクルーズ船の運航を新たに始めた。実は今、天苑宮や合同結婚式の会場などの周辺に、次々と観光施設がオープンしている。施設を訪れたという日本人に話を聞くと「すごい素敵だった」と話し、中には信者ではないという人もいた。教団を、25年にわたり研究してきた韓国・釜山長神大学の卓志一教授は、安倍元総理の銃撃事件以降、日本からの資金の流入が困難になっているため、合法的なビジネスを通じて、韓国で資金を確保するねらいがあると話していた。日本人の現役信者によると、毎週日曜の礼拝の際に、現地を紹介する動画が流れ、夫婦で行くことを決めたという。また「クルーズ船は、すごく静かって話を聞いている。電気自動車的な感じで、すーっと進むみたい」と話していた。番組がそのクルーズ船がある場所へ向かうと、250人乗りで運賃は通常、大人1人4万6000ウォン、日本円でおよそ5200円となっているという。教団の動画の紹介。カピョンクルーズとよばれるこのプロジェクトは、およそ4年の歳月をかけて進められたという。教団側がスタートさせたクルーズ船の運航。船の出航時間に合わせて訪れると、そこには多くの観光客が乗船しているところだった。およそ1時間後に到着したのは、韓流ドラマ、冬のソナタのロケ地「ナミソム」。島には主演のペヨンジュンさんとチェジウさんの銅像や写真が飾られている。観光客2人は教団の信者ではないが、クルーズ船の運航に、教団側が関わっていると伝えると「家族で旅行に来ているだけ」と話していた。また「韓国ではいろいろな宗教があって、旅行のときにわざわざ宗教のことを気にしない」とも話していた。韓国に住んでいるという信者はテーマパーク化していることについて「韓国の観光名所にもなるし、そういう意味では楽しんでもらえる、そういう場になっていくと思うので、それはいいと思う」と話していた。卓教授は「日本の信者たちは、観光目的で韓国に入ってお金を使う。統一教会に寄付することもできる。これが純粋なビジネスなのか、宗教的な活動なのか、分析する必要がある」と話していた。教団は私たちの取材に対し「日本の状況とは全く関係ない」と話している。