パワハラの疑いについては、告発文書には「出張先のエントランスの20mほど手前で公用車を降りて歩かされただけで職員などをどなる」「幹部職員にチャットで夜間、休日など時間おかまいなしの指示」などと記載されていた。これらの点について、百条委員会の報告書では「極めて理不尽な叱責と言える。業務時間外のチャット数は、1年間に2165件と多く、業務の適正な範囲を超えたものと言える」などと認定したうえで、「知事の言動などは、パワハラ行為といっても過言ではない不適切なものだった」と結論づけた。これについて、斎藤知事は「業務上必要な範囲で厳しく指導した」と述べた。告発文書では「もらい物はすべて独り占め」などと記載された贈答品の受け取りについて、斎藤知事は去年9月の百条委員会で「持って帰ってと言われたので」と答えていた。こうした証人尋問を踏まえ、報告書では「個人として消費していたと捉えられてもしかたがない行為もあり、“おねだり”との臆測を呼んだことは否定できない」などとしている。「パワハラの疑いや贈答品の受け取りなどについて、一定の事実が確認された」としている。兵庫県議会百条委員会の映像。兵庫県議会百条委報告書では「告発文書に記載されていた4年前の知事選挙での県職員による事前運動や、斎藤知事への投票依頼の2つの項目については、真偽の事実確認ができなかった」とした。兵庫県庁の映像。告発文書を作成した県の元局長を公益通報の保護対象としなかった県の対応について、兵庫県議会百条委員会の報告書は「文書は公益通報者保護法上の外部通報に当たる可能性が高いと指摘し、文書内容の事実確認より通報者の特定を優先した調査や知事が記者会見で文書の作成者を公にしたことなどは、公益通報者保護法に基づく措置を怠った対応であり、現在も違法状態が継続している可能性がある」としている。違法状態の可能性に言及した報告書について、兵庫県・斎藤知事は「手続きは適切だった」という認識を改めて示した。およそ9か月に及ぶ調査を行ってきた兵庫県議会・百条委員会。その総括を兵庫県議会百条委員会・奥谷謙一委員長は「斎藤知事は元県民局長の文書を“事実無根”“うそ八百”と評したが、本委員会の調査により一定の事実が含まれていたと認められた。全体を通して客観性、公平性を欠いており、大きな問題があったと断ぜざるを得ない」とまとめた。百条委員会の報告書について「1つの見解だ」と繰り返した兵庫県・斎藤知事は、定例会見で改めて問われると「大変重い見解。1つの見解が示されたことは、しっかり受け止められなければならない」と述べた。この問題では、百条委員会とは別に、弁護士による第三者委員会も調査していて、今月中に報告書をまとめる見通し。兵庫県庁では、一刻も早く県政を正常化してほしいと話す職員もいるという。改めるべきところはしっかり改めると述べた斎藤知事がどう対応していくのか、県議会や職員の目が注がれることになる。