午前4時過ぎ、中国・上海郊外。零工(アルバイト)市場と呼ばれるエリア。建築、清掃、ベビーシッターなど日雇いの仕事が募集されていて、多い日は1000人以上の労働者が集まる。大半は農村部などの地方から出稼ぎに来た農民工と言われる人たち。募集されている清掃員の仕事は日給が男性約3600円、女性約3200円。上海市の最低賃金を下回る水準。中国政府の統計によると中国の農民工は3億人近くにのぼり全就業人口の4割を占める。不動産バブル崩壊などによる景気減速のあおりを受けて日雇い仕事は減り続けているという。この日も多くの人が仕事を得られず。その1人、韓合金さん34歳。二人の子供の学費を稼ぐため先月、安徽省から上海に来た。住環境は劣悪で家賃は月1万2000円で家具は最低限。零工市場での仕事は1週間で2日しか稼ぐことしか出来ていない。こうした労働者の置かれた環境は社会不安の原因にもなっていると指摘されている。景気悪化のしわ寄せは若者にも。その雇用の受け皿になっているのがデリバリー配達員で、その数は1000万人を超えた。中国では若者の失業率が15.7%(去年12月)と高止まりしている。上海・南京西路には失業中でも出勤した気分を味わえる「偽装出勤会社」サービスがある。1日の利用料金は約200円。満室になる日も多いという。中国では大都市のオフィス空室率が20%超えと過去最悪の水準となっており、このスペースを活かすために失業者をターゲットにした。偽装出勤会社経営・呉永濤社長は「多くの企業から問い合わせがあり提携しようと話が進んでいる」と話す。今日開幕した全人代で従来を超える規模の財政出動など景気回復への本気度をアピールした中国。身のある対策につなげられるか注目される。