舞台「千と千尋の神隠し」は一昨年、橋本環奈さん・上白石萌音さん主演で舞台化され、今回初の海外公演としてロンドンへ。ロンドンは「ライオンキング」や「ハリー・ポッター」などが上演されている演劇の町。舞台版「となりのトトロ」も親しまれ、来年3月から無期限ロングランも決定している。さらに街の至る所に千と千尋のフラッグが。そして上演会場となるのは現地のの劇場街で最大規模、約2300人を収容する「ロンドン・コロシアム」。出演しているのは日本の劇場にも立っていた日本人キャストたち。総勢50人がロンドンを訪れ、日本語のセリフでそのまま演じている。そのセリフを観客にどう伝えているのか。実はステージの両脇をよく見ると英語の字幕が。このロンドン講演の演出を手掛けているのは日本での初演から担当しているジョン・ケアードさん。千と千尋は日本古来の「湯屋」を舞台にした物語。和のイメージを大切にするため、オール日本人キャスト、オール日本語でそのまま上演しているそう。さらに観客の心に響いた千尋の感情表現。そのひとつがハクのわきで涙を見せるシーン。地元の新聞に記載された舞台の評価では、最高の五つ星を8社から獲得し、現地メディアにも注目されている。出演者によると日本に比べ笑いが起きるというロンドン公演。たとえば頭が3つあるキャラクター「頭」の登場シーン。日本では観客たちは静かに展開を見守る。一方ロンドンでは奇抜な姿に驚いたのか笑いが起こる。そのロンドン公演で多くの観客を驚かせていたのが集団パフォーマンス。一般的にロンドンで上演される演劇は少人数のキャストによる公演が多いという。それに対し千と千尋は30人以上。異例とも言える大人数で上映している。例えば6本の腕を持つ「釜爺」はサポート用のキャストも立派な出演者で、このキャラクターだけで5人がかりで演じている。さらに「湯婆婆」は怒りが頂点に達すると顔が巨大化。それを4人のキャストたちが支えるようになる。観客を魅了する一方、舞台裏では想定外の事態も起こっていた。