脂が乗ったやわらかい肉質ととろけるような食感が特徴で白身のトロとも呼ばれるノドグロ。近年、国内だけでなく海外からの人気も高まる一方で、ノドグロを狙う漁師も増え続けている。そのため漁獲量が大きく減ってしまう懸念もある。富山県水産研究所・福西悠一主任研究員は「地元の漁師から稚魚を放流して資源量を増やしてほしいという要望が大きかった」と語った。この状況を受けて、富山県水産研究所が2011年から研究を開始。去年、世界で初めて水槽の中で自然に産卵された卵の孵化と人工育成に成功し、今年1月に1400匹の稚魚を富山湾に放流した。5cmほどで放流された稚魚は、約4年で漁獲サイズの20cmほどに成長する。今回、水槽での産卵が成功したことでより安定して放流を行える可能性がある。水深100m〜200m辺りに生息するノドグロは、揺れや光など少しの環境変化でもパニックを起こして死んでしまうことがあるという非常に繊細な魚。富山県の研究所では水温や明るさなどを緻密に管理することで深海の状況に近付けて、水槽内で産卵された卵から稚魚を育てることに成功した。