「大学が終わって、NBAで経験している選手もたくさんいる中で練習して、通用するなと感じることもある。レベルの高い環境の中で、できていることを楽しんでやっている」と語ったのは、今年、米国のネブラスカ大学を卒業し、NBAインディアナ・ペイサーズとのエグジビット10契約を結んだ日本代表・富永啓生(23)。富永は、おとといから米国・カリフォルニア州でNBAの下部組織・Gリーグの選抜チームのトレーニングに参加している。この選抜チーム「Gリーグ・ユナイテッド」は、Gリーグ所属の有望選手たちで構成され、NBA入りへのアピールの場になっている。メンバーにはNBAでプレー経験のある選手もいる中、ルーキーとして参加しているのは富永啓生だけで、しかもアジア選手では初めて選ばれた。富永は「プロにもなっていない選手がルーキーとして呼ばれたことがうれしい。レベルの高い練習や試合ができることを、すごく楽しみにしている」と語った。NBAは30チームあるが、1チームの選手の数は最大15人しかいない。シーズン開幕前、チームのトレーニングキャンプには、それ以外から各チーム6人までの参加が認められている。その際に結ぶのがエグジビット10契約で、同じ日本代表の河村勇輝(23)も、メンフィスグリズリーズとエグジビット10契約を結んでNBA挑戦を目指している。昨シーズンまでNBAで活躍した渡邊雄太(29)も、この契約から2Way契約を経て3年前、NBA選手へと上り詰めた。富永の武器はスリーポイントラインよりもさらに遠いところから打つ“ディープスリー”。以前、ZIP!で取材した時も富永啓生は「遠くから打てば打てるほど、ディフェンスもつきにくくなる。“有利になってくるのではないか”というのが始まり」と話していた。去年のW杯では、スリーポイントを武器に通算57得点と大活躍した富永啓生は、“和製カリー”とも称された。去年のW杯では、スリーポイントを武器に通算57得点と大活躍した富永は、“和製カリー”とも称された。しかしパリ五輪では、富永の通算出場時間は3試合でわずか8分で、得点もブラジル戦で決めた2点のみだった。日本も3戦全敗に終わり、日本代表・トムホーバスヘッドコーチからは「あんまり出すことできなくて、ごめんね。次の米国で頑張って」と言われたという。世界に挑む中、一番の課題は“ディフェンスとフィジカルのレベルアップ”。昨シーズンのNBA選手の平均身長は199cm。対する富永啓生は188cmで、フィジカルで負けてしまうことがあるという。選抜チームのヘッドコーチは「彼のシュート能力は私たちにとって非常に貴重なもの」、選抜チームのチームメートも「彼はスペシャリスト。彼は本当にシュートが上手で、私はとても興奮しています」と期待を寄せていた。まずは選抜チームで活躍し、来月開幕のNBA入りを目指す富永啓生は「一つ一つの場がアピールのチャンス。スリーポイントをこれからは決めていかないといけない。自分の武器だと思っているので、チームを助けることができればいいなと思っている」と語った。富永は中学生の頃、身長が低くて身につけた“ディープスリー”を身につけたという。