子どもの声への向き合い方には自治体によって大きな隔たりがある。大阪・寝屋川市の小中学校で毎月配られるちらしがある。これは「いじめ通報促進チラシ」と呼ばれている。寝屋川市では、いじめ対応の専門の部署・監察課を6年前から設置。市長直轄の監察課はケースワーカーの経験がある職員など8人が教育委員会とは独立した第三者の立場で調査にあたっている。調査に支障が出るためメディアには職員の顔を出していない。通報があれば職員同士ですぐに情報を共有。監察課は、いじめを「人権問題」としてとらえ、当事者の子供を被害者、加害者として定義。いじめを即刻停止させるため加害者とされる子供に行為をやめるよう強く求めることもある。監察課は、通報があれば翌日までに事実関係の調査を始める。被害を受けた子供の意向を確認したうえで、いじめた側や学校の教師らと会って話を聞く。学校の報告をうのみにはしない。教師も関係者の一人として話を聞き、先入観を持たずに第三者の立場でいじめに対応。大阪・寝屋川市の監察課が2023年度に対応したいじめは431件。そのすべてで、1か月以内にいじめが止まった。監察課の活動の法的根拠として制定されているのが、子供たちをいじめから守るための条例。いじめがなくならない場合、加害者の出席停止やクラス替えを学校側に勧告できる権限が市長に与えられている。寝屋川市・広瀬慶輔市長は「いじめの問題は、両方とも素人で、先生側もプロではない。保護者側も初めて。我々(監察課)はいじめ対応のプロ。事態のコントロールをしていく必要がある」と語った。