先月行われた国の天然記念物「タンチョウ」の生息状況の調査結果がまとまり、前年比で道央・道北での確認が増加した。専門家は「分布域の広がりが進んでいる」と分析している。先月5日に道内351地点で行われた調査の結果、道内全体のタンチョウの生息数は976羽と、前年同時期より110羽少なくなった。飼育されている個体を除いた地域別の生息数は「釧路地方・552羽(204羽減)」、「根室地方・56羽(2羽減)」と前年より減少した地方がある一方で「十勝地方・291羽(82羽増)」「胆振地方・12羽(1羽増)」「空知地方・4羽(1羽増)」と増加した地方もあった。また前年は確認できなかった「オホーツク地方・12羽」「石狩地方・5羽」とそれぞれ確認された。タンチョウは戦後の保護政策で生息数を増やしてきたが冬は釧路地方の給餌場に集中するため、環境省などは感染症拡大による大量死を防ごうとエサの量を調整して分散化を進めている。今回の調査結果についてタンチョウの生態に詳しい専修大学北海道短期大学・正富宏之名誉教授は「道北や道央に分布域の広がりが着実に進んでいることが示唆される」と分析している。