東京五輪パラリンピックのために建設された競技会場をめぐる費用についても問題になっている。東京都・小池百合子知事は「五輪パラリンピックのムーブメントをレガシーとして残していく」と述べた。開催に合わせ、6つの競技会場が総額1375億円をかけて新たに建設されたが、大会後も多額の維持費用がかかり続けている。303億円をかけた海の森水上競技場では、1年に1億6000万円の赤字になると試算されていたが、番組ではさらに維持費を押し上げる問題について報じていた。5.6kmにわたって設置された黒い筒状の消波装置。大会前に消波装置に大量のかきが付着して沈んでしまい、波を消す効果が失われた。都は2019年、1億4000万円をかけて付着していたかきを取り除いた。番組が新たに入手した2023年度と2024年度の都の予算関係資料。事務上の参考とするための内部資料とされている。2023年度の資料には、消波装置維持管理工事という名目で3億90万円が計上されていた。消波装置の維持管理工事とは何なのか。おととい、海の森水上競技場を再び取材。次々と付着するかきを取り除く費用を抑えるため、消波装置にカバーをかける工事が行われていた。表面にある網目に波を打ち消す効果があるとされているが、これを覆ってしまったことについて、消波装置の技術者は「シートで凹凸がなくなる。“消波能力”は落ちるのでは」と述べた。ところがカバーにもかきが付着。番組が入手した今年度の予算関係資料には消波装置清掃委託という名目で1500万円が計上されている。大会前から東京五輪のために海の森水上競技場を新たに建設することについては競技関係者から反対の声も出ていた。埼玉県のボート競技関係者は「風の問題、海水はあまり適していないのでは」と語った。戸田漕艇場を会場にしていればこれらの問題もなく、消波装置に関する費用も生じることはなかった。東京都・小池知事が大会をレガシーとすることについて関係者は「もう少し考えて造ってもらえれば、レガシーとしては意味があったのではないか」と語った。都は取材に対し、カバーの設置に約1億5000万円かかったことを認めたうえで、「生物の付着状況などを踏まえ、維持作業の頻度を見直し、令和6年度は清掃費として約2000万円を見込んでいる」と回答。