宮越家から北へ7キロ先には十三湖が。日本海に面した汽水湖で、この風景をこよなく愛した正治のために小川三知は珠玉の作品に仕上げた。直径112センチに輝く十三湖は湖面に浮かぶのは帆掛舟。近景の松は日本画の如く流れる線で描かれている。注目スべきは湖面のきらめきで光を放っている。秘密は裏にあり、空のガラスと水のガラスは同じ色だが違って見えるのは、ラファージ技法を使用しているからだという。単色のガラスと表面に凹凸のガラスを重ねてみせる技法。こうしてガラスを重ねることで、一枚では出せない色合いになり水面にさざ波が立ってゆらゆらと光り輝いたようにみえる。三知がアメリカで学んだ最新技術を使っている。帆掛け船はあえて帆の部分に鉛線をつけたが風を感じるためだという。また三知の名前がそれほどに伝わっていないのは太平洋戦争などによって壊れやすいステンドグラスが壊れてしまったためだという。東京には三知の作品が残っている。東京の小笠原伯爵邸の客間の窓や安藤記念教会の祭壇にはステンドグラスであしらわれたしらゆりがなどがある。宮家のステンドグラスは風呂場にも。窓には川柳が風に揺れカワセミがその木にとまっている。
住所: 東京都新宿区河田町10-10
URL: http://www.ogasawaratei.com/
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