2024年4月27日放送 22:00 - 22:30 テレビ東京

新美の巨人たち
【春のアート旅(4)和のステンドグラス「四季花木障子」】

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(オープニング)
今回は…

今回は四季花木障子を手掛けた小川三知を特集。

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オープニング

オープニング映像。

新美の巨人たち
光の絵画・ステンドグラシス 小川三知という天才

青森県奥津軽地方にやってきたが津軽五所川原駅から30分。終点の津軽中里駅にやってきた。北津軽郡にある中泊町。宮越家は12代続く街の素封家。ヤマシチ 宮越商店にやってきたが宮越家はかつ豪農として栄えたが奥津軽屈指の堂々たる庭が見事。その庭のぞむ詩夢庵には小川三知が手掛けたステンドグラスの四季花木障子が。季節の移ろいが細工され、白木連があしらわれ、北国の人が待ち望んだ春をあらわす。咲き誇る紫陽花は夏の訪れで、みずみずしい輝きに。秋には櫨の葉が黄金色に輝きやがて散りゆく儚さで引き算の美がそこにある。冬は大胆にとった余白が借景に。ステンドグラスが四季折々の風情を演出している。

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小川三知についてステンドグラス研究家の田辺千代さんは素材のガラスと沿線で日本のステンドグラスを最高級の芸術の域まで高めた人だと語る。その天才的な仕事は今も東京に残されている。明治維新の前年に小川三知は静岡の藩医の次男として生まれた。約束された医学の道を捨て家督の一切を弟にゆずり明治23年に東京美術学校に入学した。学んだのは日本画家の橋本雅邦。日本画の基礎から徹底的に鍛えられたがその時の雪舟の山水長巻の模写が。確かな構図と見事なまでの表現力にみえるが、雪舟を模写したことで三知は自らの限界を感じ、筆を折ってしまった。今更医師の道には戻れないと思い悩んだ三知は意外な行動に出た。

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明治33年に渡米した小川三知が目指したのはアメリカ。知り合いのアメリカ人の勧めでシカゴ美術院の日本が教師の職を得た。しかし、東洋からやってきた無名の画家にシカゴは厳しい街だった。なんとか糊口をしのいだのは絵本の挿絵の仕事。そんな折、美術院の学用から運命的な言葉を言われたがそれはステンドグラスを学びなさいという一言だった。アメリカでは当時ジョン・ラファージやルイス・カムフォート・ティファニーらによってそれまでの単色ガラスにはないオパールセントグラスが開発されていた。従来、ヨーロッパの模倣から脱却する時代の転換期だった。三知はアメリカ中を巡り十数社のガラス工房でひたすら修行を積んだ。空や食わずの異国の空の下で11年もの歳月をかけステンドグラスに没頭した。明治44年に帰国した三知は、東京・田端に工房を開設した。最初の仕事は創立50周年記念となる慶應義塾大学の図書館を飾るステンドグラス。西洋文明のシンボルである女神と向き合うのは馬を降りた日本の武士。その下にはラテン語で「ペンは剣よりも強し」という言葉。完成まで4年をかけた力作となった。三知が極めたの技法についてはヨーロッパから伝わったケイムというH型の鉛を使用した技法で、そのケイムをガラスの大きさや形にあわせてカットし、両側からガラスをはめ込む。接合部をはんだ付けする。アメリカで誕生したのは鉛ではなくロウを使ったティファニー式という技法。カッパーフォイルという銅箔でガラスを縁取りパーツ同士のはんだ付けを行う。

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四季花木障子のステンドグラスには、咲き誇るあじさいがティファニー式ならではの造形で花びら一枚一枚の繊細な違を丹念に。宮越家の小川三知の作品があるのは大正9年に詩夢庵は宮越家の9代目当主正治が妻の誕生祝に建てた。芸術を好んだ正治は、数々の美術品を収集し、詩夢庵は特別なものにしたいと考えていた。東京の三知の人気を知ってステンドグラスの依頼をしたという。三知は雪国らしい色彩やデザインを提案した。その窓は観る人の心に委ねられている。見積書には四季花木図ステンドグラスの代金が440園とあるが今の価格で176万円。三知は四季花木障子が完成した際の荷解き注意のことも手紙で事細かにかいている。ステングラスは壊れやすく繊細なものとしている。さらに宮越家にはもう一つの三知作品が。

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宮越家から北へ7キロ先には十三湖が。日本海に面した汽水湖で、この風景をこよなく愛した正治のために小川三知は珠玉の作品に仕上げた。直径112センチに輝く十三湖は湖面に浮かぶのは帆掛舟。近景の松は日本画の如く流れる線で描かれている。注目スべきは湖面のきらめきで光を放っている。秘密は裏にあり、空のガラスと水のガラスは同じ色だが違って見えるのは、ラファージ技法を使用しているからだという。単色のガラスと表面に凹凸のガラスを重ねてみせる技法。こうしてガラスを重ねることで、一枚では出せない色合いになり水面にさざ波が立ってゆらゆらと光り輝いたようにみえる。三知がアメリカで学んだ最新技術を使っている。帆掛け船はあえて帆の部分に鉛線をつけたが風を感じるためだという。また三知の名前がそれほどに伝わっていないのは太平洋戦争などによって壊れやすいステンドグラスが壊れてしまったためだという。東京には三知の作品が残っている。東京の小笠原伯爵邸の客間の窓や安藤記念教会の祭壇にはステンドグラスであしらわれたしらゆりがなどがある。宮家のステンドグラスは風呂場にも。窓には川柳が風に揺れカワセミがその木にとまっている。

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宮越家の風呂場のステンドグラスは湯船につかった時の目線の高さに川柳が揺れているように設定されている。宮越家にあるステンドグラスが奇跡的なのは、一度も修復もされずに無傷のまま残っていること。

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(エンディング)
次回予告

新美の巨人たちの次回予告。

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