東京都奥多摩町は豊かな自然に囲まれ観光地としても知られている。人口のおよそ半分が、65歳以上の高齢者。町内で目立つのは空き家。奥多摩町の空家率は、18.1%と、全国平均を上回っている。こうした現状を打破しようと、奥多摩町では今あるプロジェクトが始まっている。ことし5月にオープンしたレストラン「時帰路TOKIRO」。地元でとれた野菜や和牛を使ったコース料理が人気を集めている。築130年の空き家を改修してレストランとして生まれ変わった。そしてレストランから少し歩いた先には味噌樽などを貯蔵するために使っていた蔵をサウナに改修した。地域に点在する空き家を改修して客室やレストラン、浴場などを建設。ホテルの機能をあえて地域に分散させて、分散型ホテルを作ろうとしている。地域全体を1つのホテルに見立てることで、観光客に地域をめぐってもらい、経済効果を広くいきわたらせようという。奥多摩町で分散型ホテルを手がけるのが、地域創生のプロ、さとゆめ社長・嶋田俊平さん。嶋田さんは、奥多摩町に隣接する山梨県小菅村で分散型ホテルの建設を手がけ、観光客の数を大幅に増加させた実績がある。分散型ホテルは、空き家対策になるだけでなく、地域に眠る資源をいかしたホテル作りが特徴。分散型ホテル「Satologue」は、来年の春にも最初の宿泊棟が完成する予定。東京都奥多摩町で進む分散型ホテルの建設。実は青梅線を運行するJR東日本が、参画している。JR東日本は、2021年、嶋田さんが経営する会社「さとゆめ」と共同で出資して、分散型ホテルの運営を担う新会社を設立した。町内にある無人駅を分散型ホテルの拠点として活用したい考え。駅周辺に分散する宿泊施設やレストランを結ぶため、電動の三輪車「トゥクトゥク」も用意している。会田均さんは「地域のコンテンツが一つの面になって表現できるような形が分散型ホテルとなり鉄道との相性はいい」とコメント。