農水省は5月時点で2025年産の主食用コメの生産量が719万tとなり、去年より40万t増える見通しを発表している。キヤノングローバル戦略研究所・山下一仁研究主幹は増産ではなく飼料用のコメを減らし、主食用のコメを増やす用途転換なら可能としている。石破総理が「増産」とした背景について、山下氏は「事実上の減反政策をやめるのが本心か。JAや農林族議員を刺激するので、はっきりした言い方をしなかったのでは」と指摘した。農林水産省によると、2025年産の水田作付け意向は主食用が約131万ha、飼料用は6.7万ha。山下氏は飼料用の水田で主食用をつくれば新たな水田の必要はないとしている。コメの取引価格は主食用が約1万5000円/60kg、飼料用は約1200円/60kg。政府は飼料用のコメを作る農家に補助金で補填していて、その費用が年間約900億円。アメリカからトウモロコシを輸入した方が安上がりだという。ジャーナリスト・柳澤秀夫は「はぐらかされている気がする。選挙を意識した発言でもあると思う。ごまかされていると思うと、逆に農家にしても気持ちはよくない」などとコメントした。