川崎市臨海部に広がる京浜工業地帯では最盛期には鉄鋼や石油など重工業を中心に約10万人が働いていた。日本の高度経済成長を牽引した一方で大気汚染など深刻な公害もあった。しかし周辺地域には多くの人が集まり活気にあふれていた。しかし時代とともに工場の海外移転が相次ぎ、象徴的だった高炉による鉄の生産もおととしに終了した。地域は宅地化が進み新たな住民も増えている。工業会社に祖父の代から3代続けて勤めてきた元鉄鋼マン・福永武義は、地域住民のつながりや一体感は希薄になったと感じている。自治会役員・林田奈保美は高齢社を見守る活動をしている。「昔は隣近所で気軽に話したりお茶を飲んだりしていた。何かのきっかけで仲良くなれることが大事」と話す。去年、子ども食堂を立ち上げ、安心できる場所をつくって良い街づくりにつなげる活動している。