広島県広島市の「広島本通商店街」で商店街での買い物代を支払う代わりにその人の家を見せてもらう。声をかけると取材陣に自分が購入した昆布をくれた90歳のかずよさんの家を訪問することになった。かずよさんの家は1K、家賃38000円の築39年のアパート。一人娘が巣立った後はずっと独りで生計を立ててきたといい、90歳を迎えた今は週3日のデイサービスに通っているという。かずよさんは子どもの頃、太平洋戦争を経験した。当時、岩国市に住んでいたかずよさんは陸軍製油施設を狙った空襲に巻き込まれた。岩国空襲の死者は600人以上、負傷者は900人以上。かずよさんは「もう毎日泣いとった」と振り返った。そして1945年8月6日午前8時15分、広島市に原爆が投下された際には学校の朝礼中だったといい、40キロ以上離れた岩国からも原爆のキノコ雲ははっきり見えたという。8月15日、戦争が終結した時には大人たちが敗戦を嘆いていた傍らで「やった。もう防空壕に行かなくていい」と思ったというかずよさん。「うちらが現に目で見たことを喋らんかったもう終わりじゃもん。うちらの下に何が分かるんね」と話した。かずよさんは取材を終えるとスタッフを見送るためわざわざ外に出てきてくれた。