「役職定年」について前回に続いて取材。このテーマは当事者であるミドルシニアの方から多くの投稿があり、役職定年によって意欲、役職、給料、この3つがいずれも下がるということが多いという話だった。実は近年、役職定年という制度を見直す動きが出ていた。都内の生命保険会社「太陽生命」では以前は57歳で役職定年となっていたが今は廃止となった。廃止をしたねらいを人事の責任者である佐藤章一朗人事部長に聞いた。理由に挙げたのが労働力不足への懸念。この会社に限らずバブル期に入社した世代は売手市場で社員が多くいた。一方、その下の世代は就職氷河期で社員が少ないためバブル世代が役職から外れると管理職が足りなくなることが懸念された。別の会社も同様の危機感から役職定年を廃止した。このことで働く意欲が高まった社員もいる。千葉秀也さんは大学卒業後、この会社に入社。キャリアを重ね、50代である部署のセンター長に昇進。数年後に役職定年となる予定だったがちょうど制度が廃止になった。そのまま部長級の仕事を続けた千葉さんは自分の励みになっただけでなくその経験やスキルが下の世代にとっても頼りになっているという。この会社では管理職のポストの数自体は変えていないので人件費も増えてはいないという。ポスト数が変わらないと上の世代の方が占めてしまって若い人たちが管理職になることが難しいという懸念もあるが、会社もその点を懸念していてそこで管理職からの降格要件を厳格に運用する従来の年功賃金から成果給を重視した給与体系にもしたという。