香道は日本が世界に誇る独自の文化で、これに用いる香木を沈香という。木そのものに香りがあるわけではない。幹が風雨や病気などにより傷ついた際、その防御作用として樹脂を分泌し香りを発するようになるといわれるが詳しいメカニズムは今なおわかっていない。香の歴史は古い。595年、淡路島の浜にうちあげられた流木を燃やしたトコロえも言われぬ香りがたちこめ驚いた島人がこれを朝廷に献上。すると聖徳太子が「これは沈水(じん)なり」とといたと伝えられる。沈水とはすなわち沈香のことである。奈良時代、鑑真が練香の技法をもたらすと香の文化がいっきに花開き、平安時代には貴族の間でかおりそのものを楽しむ薫物が流行した。政治の実権が貴族から武士にうつると香の楽しみ方がかわり、練香から沈香そのものを愛でるようになった。すると産地による微妙な香りの違いが重視されるようになり、それを芸にまで昇華させて香道が誕生した。沈香のなかでも香りの最高峰とされるのが伽羅で、ベトナムの限られた地域でしかとれないため価値は金と同等、あるいはソレ以上とされる。あらためて依頼品をみていく。沈香は全長42cm重さ725g、伽羅は3点ありそれぞれ46g、15g、9g。香木の価値は香りの質により大きく異なるが沈香・伽羅ともに産出量が減少していることから価格はうなぎのぼり!果たして鑑定やいかに!?