燃料価格の高騰による産業界への影響は深刻だが、国民にも直撃している。アメリカは超車社会で、ガソリンなどの燃料価格は市民の消費判断に直結する。来月下旬からは、ドライブシーズンと呼ばれる旅行需要が高まる時期に入る。ガソリン価格や航空券代が高くなれば、旅行を見合わせたり日々の生活で節約を強いられたりする可能性も出てくる。イラン情勢が長期化し原油価格が高止まりを続ければ、製造コストの上昇などを通じて物価全体が押し上げられ、市民生活への影響は広がっていくことが予想される。インフレの動向はトランプ大統領の判断を間違いなく左右するだろう。長引くインフレをどう抑え込むのかは、11月の中間選挙でも大きな争点となる見通し。選挙までにインフレが落ち着くかどうかは、専門家の間でも意見が割れる。共和党・選挙ストラテジスト・ロン・ニアリング氏は「中間選挙までこの戦争は続かず、年末には収束しているだろう」、CSIS(戦略国際問題研究所)・クレイトン・シーグル氏は「選挙を控えた政治家はエネルギー価格の危機を望んでいないが、トランプ大統領と共和党の議員の利害が常に一致しているとは限らない」との意見。物価動向はホルムズ海峡の状況などによるが、インフレは粘着性があると言われ、物価上昇が落ち着くまでには時間がかかるとされている。イラン情勢が長引くほど、経済への悪影響が広がり消費者の不満が高まることは明らかだが、イランとの交渉でアメリカだけが大幅な譲歩をするのは難しいのが実情。トランプ政権はイランの出方、アメリカの世論の両方をにらみながら、厳しい交渉を続ける構図となっている。
