埼玉県戸田市の荒川水循環センター。およそ200万人分の下水を処理し、汚れを取り除いた水を荒川に戻している。処理場に流れ着いた下水は微生物を加え、空気を送り込んでかき混ぜる。そして最終的に残されるのが汚泥であり、農作物の生育を促すリン酸が含まれている。肥料の三要素と呼ばれるリン酸だが原料はリン鉱石である。日本はほぼ100%輸入に頼ってきた。県はこれまでそのリン酸が含まれた汚泥を焼却し、その灰を産業廃棄物として処理。その料は年間3000トンにものぼる。灰を利用して肥料にしようという取り組みは3年前から始まった。国は下水汚泥を再利用してできた肥料を活用できるよう、3年前に新たな規格をつくった。ただ規格に適合するのは品質を均一化させる必要がある。そこで汚泥から水分を取り除き、燃やしやすくするために混ぜる凝集剤を吟味。さらに肥料メーカーやJAとも共同で開発を進めた。農家が扱いやすいよう他の成分も配合した肥料を作ることにしたのである。小松菜やほうれん草の栽培を繰り返し、一般的な肥料と非核して生育状況などを分析。その回数は1年半で5回にも及んだ。肥料を与えない場合と比べて大きく青々と育った小松菜は一般的な肥料と比較してもその効果がほぼ同じであることがわかった。できた肥料は早ければ来月にも販売となる。農業経済学に詳しい東京大学大学院の鈴木宜弘特任教授は「下水の汚泥から肥料を作ることはこれからの時代を乗り切るため必要不可欠な方向性といえる」など話している。
