太秦は100年の歴史の中で装飾の技も磨いてきた。再現するのは映像や写真などがなかった江戸時代以前で、浮世絵や歴史書を参考に一点ものの装飾品を作り出す。結髪・床山は、現代人を過去の人間へと生まれ変わらせる。鬘と地肌の境界を隠すつぶしの作り方は門外不出で、太秦にだけ伝わっている。衣装は、何万通りもの組み合わせからキャラクターを彩る。「SHOGUN 将軍」の演出を担ったエマニュエル・オセイ=クフォー監督は、大学生だった21歳のときに太秦のワークショップに参加した。熟練のスタッフに支えられて監督した作品「手抜かり」で殺陣を学び、日本映画が持つ独特の感触を理解できたと語った。エマニュエル監督は「SHOGUN 将軍」第8話の監督に抜擢された。脚本を読んでページに書かれていないことが重要と気づいた、静けさに重みと意味をもたせるよう意識したと語った。
