来年春に卒業する大学生などを対象にした企業の採用面接が今月から始まった。最近注目されているのが英語で倫理的を意味するエシカルという言葉がついたエシカル就活。規模や知名度ではなく社会問題や環境への取り組みを重視するスタイルが広がり始めている。大学4年生の内田慶悟さん。脱炭素に取り組む都内のエネルギー関連のベンチャー企業への入社を決めた。大手電気機器メーカーからの内内定を断ってのこと。内田さんが環境問題に関心を持ったのは高校2年生のときに出身地の広島県で西日本豪雨の土砂災害を目の当たりにしたことがきっかけ。企業選びの決め手は社員の熱意だった。内田さんのように社会問題や環境への取り組みなどを重視する企業選びはエシカル就活とも呼ばれ、学生などの間で広がり始めている。エシカル就活の専門サイトもできた。気候変動や貧困問題などのキーワードで検索すると企業の具体的な取り組みを知ることができる。一方で給与や福利厚生の情報は掲載されていない。3年前のサイト立ち上げから利用する学生は増え、今年4月の登録者はおよそ1万5000人と当初の20倍以上に増えた。また、このサイトを利用して内定を受けた学生は辞退をせずに入社する割合がおよそ8割に上り、登録する企業も増えているということだ。エシカル就活の背景について就職活動に詳しい採用コンサルタント・谷出正直さんは「学生が生まれ育ってきた時代背景の中でSDGsという言葉を見聞きしたりボランティアなどが身近になってきた。学生に興味・関心をもってもらえるようやっていることを伝えなければいけない」とコメント。