兵庫県手延素麺協同組合で揖保乃糸のメーカーに関して話を伺った。揖保乃糸は手延素麺協同組合を製造責任者とし、約400軒の製麺所が基準を満たした同じ麺を製造。地元スーパーの売り場を見ると揖保乃糸が山積みに。お中元コーナーでは木箱入りの揖保乃糸が大量陳列。中には9kg1万7000円超の箱まであった。全国的には氷水に入っているイメージだが、兵庫県民にとって氷水は麺のコシが損なわれるためNG。麺をかき混ぜながら茹で、しっかり水でもみ洗い。揖保乃糸のポテンシャルを最大限味わうべく茹でたてを素早くすするのが兵庫県民流。めんつゆは揖保乃糸専用。たつの市の醤油メーカーのヒガシマル醤油が製造。さらにそうめんの帯は色ごとに階級が違うという。一般的な揖保乃糸は赤帯。一方で木箱に入った揖保乃糸は黒帯。山陽百貨店のギフトコーナーを覗いてみると特級品と書かれた黒帯の揖保乃糸が。その隣には紫帯。他にも緑帯の播州小麦に金帯の熟成麺。揖保乃糸には7つの等級が存在。全国的にポピュラーな赤帯は上級品というランクで下から2番目。その3段階上が太さ約0.1mm細い紫帯の縒つむぎ。その上が0.05mm細く限られた職人だけが作る黒帯の特級品。等級が上位で高価な黒帯の特級品は特に贈答品として県民に親しまれている。黒帯の上の存在が古。製造から1年以上熟成させたもので値段が2割ほどアップ。寝かせることでさらにコシが強くなるそう。特級揖保乃糸の製造を許された製麺所へ。実はインディアンス田渕の家族は約4割しかいない特級揖保乃糸を製造する職人一家。今はお休み期間だという。揖保乃糸が作られるのは空気が乾燥している冬の時期。熟成を重ねた何本もの生地をよりあわせ、ねじりながら細く伸ばしていくことでコシを生み出すのが特徴。全国的には余りがちなそうめんだが、兵庫県民はどう消費するのか。たつの市のご家庭に伺うと茹でたそうめんをフライパンに投入。そのままヘラで押しつけひっくり返す。そこに今度はチーズをトッピング。味付けは塩コショウのみのガレット風そうめんが完成。他にもそうめんを揚げ焼きに。そこに野菜あんかけをたっぷりかければ皿そうめんに。そもそも播州では室町時代にそうめん作りが既に行われていたと言われており、約600年前の古文書にそうめんの記述が登場。いつからか揖保川にちなみ、そうめんの名前も揖保乃糸に。揖保川の軟水と良質な小麦に赤穂の塩、そうめん作りに欠かせないこれらの条件が、日本一のそうめんブランド揖保乃糸を生み出した。