新体操部指導者・橋爪みすずさんが過度な減量による成績不振を解消するため始めたのが部員のお弁当作り。栄養士の指導の元、きれいで健康的な体づくりを目標にメニューを模索した。選手を痩せさせることが主流だった当時、食べさせることを選択したこの決断は異例だったという。この日のメインは豚肉で、さっと湯がき余分な脂を落とす。お米もしっかり食べるのが橋爪流。炭水化物を抜くと逆に痩せにくい体になるという。夕飯は全部で約400kcal程度で、太りにくいが満足感があり栄養満点。これがきっかけで食事以外の指導方法も180度転換。選択肢を与え、自主的に選んでもらうことにした。すると選手にも変化が。新体操部OG・現コーチ・塚原青さんは「今までは(練習を)やらされているって感覚だったのが、やりたい、自分がやりたいからやる、成長したいからやる(というように変わった)」と話す。教え子の成長に顔がほころぶ橋爪さん。いま高校を離れ、日本女子体育大学に勤務中。それでも“食べて勝つ”スタイルを根付かせたいという思いから今でも伊那西高校の指導に携わっている。橋爪さんは指導法を変えたことによって生まれた一番の良さは「(選手が)新体操を入学した時よりも好きになって卒業していくこと。(卒業後も)新体操を続けてみたいという人が多くなった」と話す。