子どもに接する仕事に就く人に、性犯罪歴がないか確認する制度、日本版DBSを導入するための法律がきょう成立した。制度導入を求めてきた認定NPO法人・赤坂緑代表理事は「本当にここが第一歩」と語った。新たに導入される日本版DBS。学校や認可保育所などの事業者に対し、子どもと接する仕事に就く人に性犯罪の前科がないか確認することなどを義務づけている。一方、放課後児童クラブや学習塾などの民間事業者には参加が任意の認定制度が設けられる。対象になる性犯罪は、不同意性交罪や児童ポルノ禁止法などに加え、痴漢や盗撮などの条例違反も含まれる。30代の女性は、中学生のとき、通っていた中学校の教員に性行為を強要された。周囲から、女性のほうに落ち度があったのではないかと責められるなど、性被害が軽視されたと感じてきたという。女性は「ちょっとでも安心なものになっていくには、(法律の成立は)すごく期待している」と語った。しかし不安も。女性に性加害をした教員は別の生徒への事件で逮捕略式起訴され、懲戒免職になったが、その後、同じ地域で学習塾を開業。日本版DBSでは、学習塾は義務ではない。NHKは、加害者にも取材。「規制や厳罰化をしたところで、別の方法で性欲を満たそうとする」「根本的なところから対策しないと、あの手この手で犯罪はまた起きると私は考える」「気持ちの抑え方などといった支援や制度も同時に考える必要があると思う」。きょう成立した日本版DBSを導入するための法律。衆参両院の委員会では、今後、政府に対し、加害者の更生や社会復帰を支援する治療的支援を強化することなどを求める付帯決議が可決された。政府は、法律の公布後、2年ほどの間に、制度の運用を始めることを目指し、事業者向けのガイドラインを策定して、環境整備を急ぐ方針。子どもの性被害対策に詳し奈良大学・今井由樹子准教授は「実効的な内容になるのか注目するところ」と語った。